黒漆舎利厨子(しゃりずし)

【年代】 南北朝時代~室町時代
【所在】 国宝館
【指定】 奈良県指定文化財
【技法】 木製黒漆塗
【法量】 厨子高29.5~32.2cm 計4基
【公開情報】 通常非公開

舎利は、梵語のシャリーラ(śarīra)を漢字にあてたもので、本来は身体を指します。釈迦の入滅後、その身体は荼毘に付され、人々はその遺骨を釈迦の身体と考え、塔を建てて礼拝供養します。日本の五重塔や三重塔はその舎利を納めるための建物です。やがて堂内にも舎利が奉安されるようになり、また多くの要望に応えるために、より簡便で量産が可能な嵌め込み式の舎利厨子が造られるようになります。

慶長4年(1599)の寄進銘がある厨子は前後両面に両扉を構え、正面内壁に舎利容器を嵌め込み、扉裏の向かって右に不動明王、左に愛染明王を描きます。背面内壁に不空羂索観音(南円堂本尊)を描き、右下に童子を従えた玄奘三蔵が立ちます。扉裏に四天王像を2体ずつ描いています。春日社一宮の武甕槌神(たけみかづちのみこと)の本地仏として寄進され、その制作は南北朝時代に遡ります。

このほか興福寺には、天文6年(1537)、天文23年(1554)の寄進銘があるものを含め、計4基の舎利厨子が伝えられ、全て奈良県の指定文化財に登録されています。また、宝珠を嵌め込んでいることから、密観宝珠嵌装舎利厨子と称することもあります。

本日のご拝観について
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