梵鐘(ぼんしょう)

【年代】 奈良時代
【所在】 仮講堂
【指定】 国宝
【技法】 銅造
【法量】 総高149.0cm、口径89.2cm
【公開情報】 通常非公開

つり鐘で、時を報じたり法要の合図に用いられます。興福寺の子院「観禅院(かんぜんいん)」に伝来したもので、撞座(つきざ)の位置が高く、龍頭(りゅうず)と撞座(つきざ)が平行に取りつけられていることなど、奈良時代の特徴が認められます。銘文に神亀4年(727)の年号や、銅と錫との比率が刻まれており、奈良時代の梵鐘の基準作として、また鋳造史の好史料として注目されます。刻された銘文は次の通りです。
 
神器金鼓仁風聲振鷲岳響暢龍宮奉為四恩
先靈聖躬遊神壽域言天衆釦輪息下折機清空
芥城伊竭弘誓無躬鑄銅四千斤白二百六十斤
神龜四年歳次丁卯十二月十一日鑄寺主徳因時
(読み下し)
神器を揵すれば、金鼓の仁風、聲は鷲岳に振い、響きは龍宮に暢びん。奉じて四恩の為にす。先靈の聖躬、神を壽域に遊ばせ、言の天衆、釦輪息下、機を清空に折り、芥域は伊れ竭き、弘誓無躬[窮]ならんことを。銅四千斤、白二百六十斤を鑄す。神亀四年、歳は丁卯に次る十二月十一日鑄す。寺主徳恩の時なり。

本日のご拝観について
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