大般若経(だいはんにゃきょう)

【年代】 室町時代
【所在】 国宝館
【指定】 奈良県指定文化財
【技法】 紙本墨書、折本装
【法量】 縦26.6㎝、横9.6㎝(巻第1)
【公開情報】 通常非公開

玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が訳出した『大般若経』は全部で600巻あり、般若(最高の心理)における「空(くう)」の思想(全てのものは実体が無いこと)を説きます。古来より当経典は盛んに書写され、興福寺には6部伝来しています。そのうちの1つが良尊(りょうそん)1人で書写した「良尊一筆経」として知られるもので、奈良県指定文化財に指定されています。天文18年(1549)に春日社の般若屋を写経場として書写を開始、およそ4日に1帖のペースで仕上げる進度で、6年半後の天文24年4月27日に完了しています。本経の大きな特色は、奥書(おくがき)に続けて良尊自身の見聞した事柄や所感を記している点にあり、当時の動静や世相などを知る上で大変貴重な史料です。表紙や経箱など当初のまま伝存し、奥書が豊富に記される点において、高い価値を持っています。また、これを納める漆塗の経箱も奈良県指定文化財として指定を受けています。

本日のご拝観について
本日のご拝観について