燈籠火袋羽目(とうろうひぶくろはめ)

【年代】 平安時代
【所在】 国宝館
【指定】 国宝
【技法】 銅造
【法量】 高43.8cm、幅28.2cm
【公開情報】 常時公開

各面に7行9字の銘文が記されます。銘文の撰者は弘法大師空海、また書風から橘逸勢(たちばなのはやなり)の筆と伝えます。楷書の中に行書を交え、字に変化を持たせており、書の美しさを際立たせています。上部は斜格子を透かしています。全6面の内、4面が現存します。
 

【 関連項目 】
金銅燈籠

 
(第1面)
銅燈臺銘 并序
弘仁七載歳次景申伊
豫權守正四位下藤原
先考之遺敬志造銅燈
臺一所心不乖麗器期
於撲慧景傳而不窮慈

読み下し
銅燈臺銘 并びに序
弘仁七載、歳は景[丙]申に
次る。伊豫權守正四位下藤原
朝臣公等、先考の遺せるを追
遵し、敬いて銅燈臺一所を造
らんことを志す。心は麗なる
に乖らず、器は撲なるを期す。
慧景は傳わりて窮まらざらん
ことを、

 

(第2面)
炎燭而無外遺教経云
燈有明明命也燈延命
譬喩經云為佛燃燈後
世得天眼不生冥處普
廣経云燃燈供養照諸
幽冥苦病衆生蒙此光
明縁此福徳皆得休息

読み下し
慈炎(光)は燭きて外無から
んことを。遺教経に云う、燈
に明有り、明は命也、燈は命
を延ばす、と。譬喩經に云う、
佛の為に燈を燃やさば、後世
に天眼を得、冥處に生まれず、
と。普廣経に云う、燈を燃や
し供養すれば、諸の幽冥を照
らし、苦病の衆生、此の光明
を蒙る。此の福徳に縁りて、
皆休息するを得ん、と。

 

(第3面)
然則上天下地匪日不
明向晦入冥匪火不照
是故以斯功徳奉翊
先霊七覺如遠一念孔
邇庶幾有心有色並超
於九横無小無大共
於八苦昔光明菩薩燃

読み下し
然らば則ち、上天下地、日に
匪ざれば明ならず。晦に向い
冥に入りては、火に匪ざれば
照らさず。是の故に、斯の功
徳を以て先靈亡覺を翊け奉ら
ん。如し遠ければ、一たび念
ずれば孔だ近からんことを。
庶幾わくば、心有り色有るも
の、並びに九横を超え、小と
無く、大と無く、共に八苦を
かんことを。昔、光明菩薩、

 

(第4面)
燈説呪善樂如来供油
上佛居今望古豈不美
哉式標良因貽厥来者
云大雄降化應物開神
三乘分轍六度成津百
非洗蕩万善惟新更曻
利示以祟親其一薫
修福

読み下し
燈を燃やし呪を説けり。善樂
如来、油を供え佛に上つれり。
居今望古、豈に美しからざら
ん哉。式って良因を標し、厥
の来者に貽ると云う。大雄降
化し、物に應じて神を開く。
三乘は轍を分ち、六度は津を
成す。百非は洗い蕩がれ、万
善は惟れ新しく、更に利に
昇らん。示して以て親を祟び、
薫じて福を修めん

本日のご拝観について
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