年中行事とイベント案内

一年間の行事

大般若経転読会(だいはんにゃきょうてんどくえ)南円堂 10月17日

 10月17日は、年に一度の南円堂の特別開扉の日です。昔は、寺僧と言えども、南円堂の内陣で礼拝することは許されませんでした。お堂は仏様の住む清浄な世界と同じですから、我々が簡単に出入りすることは許されなかったのです。しかし、時代の流れとともに、近世以降は、より多くの人々に仏様に接し御縁を結んで戴くことを願い、尊像をご開帳する寺院が増えて来ました。南円堂の「大般若転読会」は昭和48年に再興され、これにともない、年に一度のみ特別に開扉しています。


 「大般若経」(正しくは『大般若波羅蜜多経』)は、全六百巻という大部の経典で、五十巻ずつ十二箱に納められ、法要では一箱を一人の僧侶が受け持ちます。一巻を読み上げるのに約一時間はかかりますので、五十巻となると二日間飲まず食わずでようやく完了というしろものです。
 しかし、そこは良くしたもので、最初から最後まで一字一句を読み上げる「真読」に加えて、経題と御真言を唱える「転読」という方法が奈良時代よりなされてきました。「転読」の名称は、もともとは巻物の経典を転がして御真言を唱えたことに因みます。経典の流布にしたがい、木版印刷が盛んに行われるようになると、経典は巻物から折本へと変わっていきました。
今に伝わる転読法要は、導師の「大般若―」の発声とともに、それぞれが大声で唱えながら折本経典を空中に乱舞させ、読み終わるとスッと元の状態に収められる様は、見ていても飽きさせません。


 『大般若経』六百巻は、大唐の玄奘三蔵が晩年に最後の力を尽くし、訳し終えた経典です。字数約五百万字で諸経典中でも最大の経典です。ために、一切経の首座をしめます。
この経典を供養すれば、至上の幸せがもたらされるとされ、古来より「大般若経転読法要」が、除災招福・国家安泰を願い盛んに修められてきました。日本では、大宝3年(703)3月、大官大寺、薬師寺、飛鳥寺、弘福寺の四大寺で初めて大般若の法要が厳修され、延喜年間(901〜23)の頃から東大寺、興福寺、大安寺、薬師寺の大般若会は勅会として、毎年恒例の国家の法要となりました。


 興福寺の「大般若転読会」も、皆様のおかげで年をおうごとに盛んになってまいりました。南円堂の御本尊・不空羂索観音像(国宝)は鎌倉復興時代の代表的仏師で運慶の父、康慶一門作による堂々たる菩薩様です。
また、ご尊像の背後には、天井までの高さの「不空羂索観音画像」を奉掛します。

 慈悲の羂索で衆生をあまねく救い、衆生の願いを空しいものにしないという御本尊・不空羂索観音様の御宝前で、本年も「大般若転読会」が厳修されます。力強くも賑やかなこの法会に、是非とも御参加いただき、ご本尊とご結縁されますようご案内申し上げます。